2024年3月 「くつ」

いよいよ今週末は卒園式です。卒園式には子どもたちが入園した時からスタッフが撮ってきた写真を集めてその中から私が気に入った写真と気に入った歌を選んで卒園児のももちゃんママにDVDを作ってもらいます。

そして卒園式当日みーんなで観ることになっています。 私は子どもが子どもにくつを履かせている姿が大好きで、必ずくつを履かせている写真は選んでいます。困っている子のくつを履かせて面倒をみてあげている風だけど自分のくつはとーんでもない方にぶんながっていたりして…(苦笑) でもその必死さにとーっても心が動かされます。

ハイジが始まって以来ずっと交流をさせてもらっている教育ジャーナリストの青木悦さんが2023年に新刊を出版されました。闘病中の中での執筆活動なので、1日に200行書ける日もあれば2行しか書けない日もあったそうです。そして5年という年月をかけて書いた青木悦さん渾身の本となっています。 親になって子どもとの関係に悩んだり不安に思ったり自信が持てなかったり…親との関係に悩んだり苦しんだり…

悩み始めた方悩み中の方…みんなに読んでもらいたい一冊です。

悦さんから頂いたハガキに「とにかく子どもが一日でも楽しかった!と思えた時、それは一生の力になります。どうぞそのままその場を継続して下さいませ。」と書いてありました。

そそそそんな~!そんなことある?たった一日楽しかったからって一生の力って~!そんな大げさな~と思ってしまいました。でも悦さんの心強い一言に(細く長くこのままハイジを続けよう!)と改めて気が引き締まる思いになりました。 そして大きな勇気をもらいました!

2月に卒園児のなみちゃん(5)のママからラインで写真が送られてきました。なみちゃんがハイジのアルバムを座ってじっくり見ている写真です。そして「ハイジアルバムで心整え中。感謝です」と追加コメントがありました。 小5になると色んなことが沢山あってそこで何とか何とか踏ん張って過ごしているなみちゃん。 ハイジでありのままの姿でめちゃくちゃに元気に過ごしていた頃を思い出して明日からまたがんばろうとしているんだろうなぁ~アルバム渡せてよかったなぁ~と思いました。

そして青木悦さんのハガキに書いてあった【子どもが一日でも楽しかった!と思えた時、それは一生の力になります!】この言葉が実感できる一日となりました。

話は戻ってくつの写真の話になるのですが…どうして私はくつを履かせている写真が好きなんだろう?と考えてみました。

パパやママと離れて一人になって心細くて寂しい時、友だちと揉めて悔しい時、友だちと遊びたいけど遊びに入れてもらえなくて悲しい時など自分の思い通りにならない時に他の子のことなどかまっていられない。自分のことだけで精一杯なときに他の子のくつを履かせてあげることは絶対しないです。 でもパパやママと離れても平気になったり、スタッフに甘えられるようになったり、友だちと呼べる仲間ができたり…自分の思いが通って自分の気持ちに余裕が持てるようになった時に、初めてくつが履けなくて困っている子に(くつを履かせてあげたい!)と自分の心と身体が動いているようです! その瞬間に立ち会うことができた時、私は嬉しくて慌てて写真を撮っています。

くつの話って在園児に限らず小学生も中学生も大人もみーんな同じことのような気がします。

例えば山のような家事と山のような仕事が残っていて、身体的にも精神的にもめっちゃ疲れているとします。

そんな時いつもなら自分でくつを履くことができている子どもが「履かせて~!」と言ってきたら「わかったよ~」と履かせてあげることができたとしてもそれは本心ではなくがんばって無理して履かせてあげたことになる…

また、自分は幼い時から親に「いい子ね~」とか「がんばり屋さんね~」とか「えらいね~」とか「ちゃんとしてるね~」など褒められて育っていたら他の人のために動くことはごく当たり前のことだろし…その延長線上で子育てをしていたら周りの人にも親にも子どもにも理想的な良い親を演じてしまうかもしれない。

でも本音としては「もうやだー!」「疲れたー!「休みたーい!」「誰か代わってー!」と思っている。 くつだってそう!!「自分で履けるでしょ!自分で履いてよ~!」って本当は思っている。 「というよりそもそも自分のくつも履きたくないんだから!」「誰か私のくつも履かせてよー!!」なんて思ってしまうかもしれない。

でもそんな自分の本音を少しでもさらけ出すことは大人気もなくて弱みをみせてしまうような気持ちになるし… それに自分が今までがんばってやってきたことを否定することにもなるかもしれない…

でもでも…今までものすごくがんばってきた人の近くには必ず「何とか手を貸したい!」「何でもいいから手伝いたい」と思っている人はいると思っています。 くつを履かせることには慣れているけど履かせてもらうことに抵抗があるし、とっても勇気がいることかもしれない。 でも一度「私のくつも履かせて~!」と足を出してみるのもいいかも?? 「くつを履かせたかった~!」と待っている人がすぐ近くにいると思います。

みーんなでくつを履かせたり履かせてもらったりぐるぐるぐるぐる履かせごっこが循環するといいなぁ~と思っています!

                                        2024/03/18