2024年11月「箱」

あっという間に2024年のカレンダーがあと2枚になっています。忙しい師走がすぐ目の前まできていますね~

子どもたちは…毎日朝から夕方まで自由に過ごしています。

そんな中いつもなら怒らないところで怒ったり、泣くことでもなさそうなところで大泣きしたり、へこんだり、とんでもないわがままを言ったりと…

あれっ?どうした?いつもの様子と違うなぁ~?と思う子が何人かいました。

すぐにパパやママに日中の出来事を説明すると

パパママ「えっ?そうなんですか?実は今仕事が立て込んでいてとても忙しくて余裕ないんです」

ゆうこ「子どもはパパとママがこのままがんばり続けたら身体も心も壊れちゃうよ!とブレーキをかけるために自分が怒ったり、泣いたり、へこんだり、わがままを言ったりしてパパとママを守っているんじゃないかと思います」

パパママ「あ~そうですよね~そういうことですよね~これからのことはちょっと考えてみますね」

そしてパパとママの気持ちに変化があった時、子どもたちはまた以前のような元気な姿に戻っていきます。

こんなことを目の当たりにすると、大人は子どもを守っているようで本当は大人の方が子どもに守られていると実感させられます。

ハイジが始まって4月で20年になります。開所当時はしばらく子どもが1人でスタッフは父と母と私とあすか(しばらくボランティア)の4人でした。午後は子ども1人が寝たら私とあすかも一緒に昼寝。母がそれを見て「3人で寝てんのか~暇な保育園だなぁ~」と笑って言っていました。子どもが2人3人と増えていきスタッフも1人2人と増えていくようになりました。

あすかは小さいときから病気を抱えていました。そして2015年3月1日天国に旅立ちました。(詳しくは私が書いた【ありがとね】の本に書いてあります。よかったら読んでみてくださいね)

私はあすかが天国に旅立つ約1年前の2014年4月の桜満開の木の下で「あっ来年はあすかとこの桜は見られない」と感じた瞬間がありました。そしてすぐにそのことを近くにいたスタッフののりこに伝えています。のりこもその時のことを鮮明に覚えています。

最近のりこに「私が感じたことって…私が強く思っていたからかなぁ~?もしかしたら願ってしまっていた??」と聞いたら「知るだけですよ~」と…

「えっ?のりこ何言っているの?知るって何?」と聞いたら

「ゆうこさんは全部わかってしまう。知ってしまう。ってことだけですよ~」と言っていました。

そっか~「知る」だけかぁ~と納得。

私は人のことをあれこれ考えることが人よりも多くて…あすかのことも煙たがられるくらい考えていたから、もしかしたら私の先祖の方たちが「あすかとの時間を大切にしなさいよ~」って前もって教えてくれたのかもしれないなぁ~とも思っています。

私が感じることは否定できないし仕方のないことでどうにもこうにも覆すことはできない。ということをあすかが旅立って10年たった今も改めて感じています。

ちょっと話は変わりますが…

子どもを育てている人や子どもと関わっている人たちの中には「あ~自分が小さい時こんな風に育ててもらえたら良かったなぁ~」と感じている人もいるかと思います。

子どものことは抱っこしているけど自分は抱っこしてもらってないなぁ~

子どもにはおもちゃやおやつも買ってあげているけど自分は買ってもらえなかったなぁ~

子どもは本音をさらけだしている感じだけど自分は親の前で本音をさらけ出したことがないなぁ~

子どもは何でも自分で選んでいるみたいだけど自分は親の機嫌を伺うために親が好みそうなものを選んでいたなぁ~

子どもはがんばれることだけがんばっているみたいだけど自分は親に褒めてもらうために無理していろいろがんばっていたなぁ~など…

こんな風に感じたことをもし誰かに相談したとします。

その時「いやいやいや捉え方だよ」「あれはお父さんもお母さんもあなたのことを思ってやってくれていたことなんだからそんな風に感じてしまうのは間違いかもしれないよ」など言われたら

「そっか~そうだよね。私の(僕の)ためにやってくれていたことだから仕方ないよね」と納得する自分と「いやいやいや~あの時、自分が感じたことは嘘じゃないんだけどなぁ~本当は抱っこしてほしかったし、おもちゃだっておやつだって買ってほしかったし、認めてほしかったし褒めてほしかったから色んなことをがんばっていただけなのになぁ~」と納得できない自分もいるんじゃないかと思っています。

本当の気持ちって自分にしかわからないかもしれないです…

今まで私は沢山の親子関係に関わってきました。園長という立場もあるから…伝えなくちゃいけないことは伝えてきたし言いにくいなぁ~と思うことも言ってきました。その時に伝えないと子どもが苦しくなる(必然的に親も苦しくなる)ということもわかっているので…もちろんそのことが原因で傷つけたこともあるし傷ついたこともあります。でも…子どもに寄り添うと決めて始まったハイジなのでこれは仕方のないことと思っています。

今子どもを育てている人や子どもと関わっている人たちの中で、自分が育った環境に納得がいかなくて、本当の気持ちを抱えたまま誰にも何も本音をさらけ出さずにいる人ってもしかしたら自分自身で作り上げた堅くて重たい箱の中に閉じこもっている感じかもしれないです。それに気が付いた人が必死で「苦しそう…大丈夫?」と声をかけてがんばって箱を開けようとしても絶対開かない。というか開けてほしくないんだから放っておいてよっ!ってことになってしまうだろうし…

でも中に入っている自分が今まであった嫌だったこと悔しかったこと苦しかったことなどをちょっとずつちょっとずつ誰かに吐き出すことができたらそこからまた新しい人生が始まるんじゃないかなぁ~と思っています。

堅くて重たい箱でも中に入っている自分が「外に出る」と決めた時は何の力もいらないでがんばったりしなくてもスーッと開くかもしれないです!

あれっ?ちょっとまってよ~どうして私は堅くて重たい箱の中に閉じこもっている人の箱を開けて楽になってほしいと願うんだろう?どうしてなんだろう??考えてみました。

やっぱり…10年前あすかに(いつか)伝えようと思っていた(いつか)が急になくなってしまって何も伝えることができないまま会えなくなってしまったという経験があるからです。

今も(ゆうこさん!そのままでいいよ!)と天国から応援してくれているあすかがいるってことをいつも感じていられるからです。

いつか自分の気持ちに気が付いた人…気が付いてしまった人…

怒りながらでもいい。泣きながらでもいい。いつか本音を吐き出してくださいね。

いつでも大丈夫!待っています!

2024/11/26