2022年6月「水槽」

1月には50歳の記念に人間ドックを受けました。大したことはない病気が見つかり、のりこに「どうしよう!どうしよう!」と毎日のように大騒ぎで言っていました。

のりこは「大丈夫じゃないですか~先生も大丈夫って言っているんだし…」と何回も言っています。「うん!そうだね…」とその場では納得して素直に聞いている風で過ごしていましたが(そんなはずない!)(絶対ない!)(人の気も知らないでー!)と心のどこかで怒りながらへこみながら帰る日々でした。4ヶ月後本当に大丈夫だった!ということが判明して「あ~よかった~!本当に大丈夫だった~!」とのりこに言うと「えっ??そんなにずっと心配していたんですか~?」とびっくりされました。

4ヶ月がとっても長かった。頭の片隅に病気のことはあるけど何も考えないように振る舞っている感じです。騒いだところで本音を言ったところでわかってもらえないし、大丈夫って答えしか返ってこないし…また言っている!って思われるだろうし…そんな風に思われるくらいなら自分の気持ちに蓋をして何事もなかったように振る舞っていた方が楽だし楽しいしね…

 

感覚でいうと水族館の水槽に入った感じです。見た目は今までと何も変わらないけど自分の中ではどんどん分厚い丈夫な壁を作って誰も入ってこられない。わかってもらえない。と決めつけて自分だけの世界に入っている感じです。

 

自分しかわからない悩みを抱えている人、何でもないように振る舞って笑っている人ってこんな気持ちなのかも?と今回のことで初めてわかった気がしました。本音が言えない分、自分が頑張っている分、自分が我慢している分、水槽の壁は人の手では割れないくらい強くて分厚くて丈夫になっていく。自分の気持ちが水と一緒に溢れ出してしまったら大洪水になってしまうことがわかっているので1㎜でも亀裂が入らないように益々頑張る!

 

周りの人は本人が「大丈夫だよ」って言っているからそれを本気にしてしまうし、見た目は透明できれいだからまさかそんなに悩んで心配して不安になっていることなんて全く気がつかない。

 

自分のことならまだしも…子どものこととなると本当に不安になってしまう人を何人も何十人も見てきました。先が見えない、わからないから悩んでしまうし不安になってしまう。右に行けば成功で左に行けば失敗。など勉強のようにはっきり結果が出るわけでもないし。5ヶ月後、1年後、5年後…先を見据えて答えを教えてくれる人がいれば楽なのですが、こればっかりは何とも言えないのが現実です。

 

コロナが収まってきたので先日父母の方とお話会を開きました。ハイジの第一印象などを聞いているとやっぱり想像以上にびっくりする人が多いです。2月なのに水(お湯)に入っていたり、ドレス着ていたり、雨でも外で遊んでいたり…面接の日は一応「面接です。掃除してください」とスタッフに声はかけるけどそんなの一瞬だけきれいになるだけ日に日に外面だけのことはバレていきます(笑)今は大きなプールに朝から夕方まで入ったり出たりして遊んでいます。プールの中で側転までしている子もいます!

ずぶ濡れ、砂まみれで部屋に入ってくる子も多いし…そこいら中に水たまりがあったりご飯粒があったり…うんちやおしっこも「でちゃったー!」ってことも毎日!汚いくさいは当たり前!そんな中でもご飯を食べたりおやつを食べたりしているので手洗い?!消毒?!清潔?!はどこへやら…?そしてケンカもあっちこっちで起こるのでどこかで誰かがギャーギャー泣いていることも当たり前!面接の時びっくりしてしまう人が殆どです。

私だって…多少はきれいで優しい雰囲気のイメージをもってもらいたいと思っています。そんなことを卒園児に話すと「そんなの嘘だろっ!最初からこの姿をみてこれでいいって思った人が入った方がいいだろっ!」なんて言われてしまいます。

 

お話し会では第3子のいぶくんを入園させた、いぶくんママがこんなことを言ってくれました。「長女のことで悩んでいたときにハイジに出会いたかった。長女のときは他の子と比べて出来る出来ないで悩んでいたし、手を拭いたら他のところ触らせたくなかったし…一人目こそハイジが必要です。今コロナが心配で家から出られない親子もいっぱいいると思いますよ~」とのことでした。

 

きっと水槽の中でぎゅっと我慢して日々を過ごしている人がいるんだろうな~

子どもだって水槽の外に出たい!広いところで泳ぎたい!って思って必死に泣いたり暴れたりしている子もいるのかも?!水槽の壁が子どもと一緒にいることによってどんどん分厚く強くなってしまう人も少なくないのかもしれないです。

 

泣かせること!暴れさせること!大人の理想を裏切ってくれること!

それはとっても大事なことでそれをさせられるってことは自由を保障しているってことでもあると思います。

我慢などしないで自分を抑えこまない子どもは、パパもママも自由になろうよ!この水槽狭いよ!どこかいこうよ!と水槽を取っ払うために必死に伝えているような気がします。大人にとって今いる水槽は安全で居心地のいい場所かもしれないけど、子どもがここを出たいと言っているのなら試しに一回水槽から出てみるのもいいのかも?一気に何かが変わり始めるかもしれないです!!