2022年1月「どっち?」

12月に大腿骨骨折で入院していた母が無事に退院しました。介護が必要な父は1月末に施設への入所が決まり離れて暮らしています。やっと落ち着きを取り戻し穏やかに過ごしています。

1月末に私は50歳の誕生日を迎え、スタッフや子ども達にお祝いしてもらいました。

あおちゃん(小3)の手紙には「高校生になったらハイジでバイトするよ!」と書いてありました。嬉しい限りです。みんなありがとう!!

まゆゆには「丈夫な身体に産んでもらったお母さんとお父さんに感謝だね~」と言われました。本当にそう思います。そして私の喜怒哀楽の激しい性格をありのままに受け入れて育ててもらったことにも感謝しています。

 

しばらく前スタッフ同士でお父さんとお母さんの話をする機会がありました。「例えば1人で船に乗って海に浮いています。お父さんとお母さんの船が沈没しそう!1人だけ助けられるとしたらどっちを助けますか?」という質問に私は迷いなく「お母さん」と答えています。

どうしてだろう?何で母なんだろう?どうして父じゃないんだろう?

そんなことを考えながら父の介護をしていました。昔から父はマイペースで誰がどうしようとあまり動じない。影響されない。そんなイメージのまま父と一緒に過ごしていました。

 

今の父は日時がわからなくなり、服の着脱が1人で出来なくなっています。そんな父をショートステイに迎えにいった帰りの車の中で突然「お金はあるのか~?70万くらい持っているのか?」「兄の仕事は大丈夫か?」など聞いてきました。「うん!!大丈夫だよ・・・」と答えましたが・・・離れている間、そんなことを考えていたのかなぁ~?と思うと泣きそうになってしまいました。

数日後には施設の入口に面会スペースがあるので、まんじゅうとお茶を持って会いにいくと「もう帰る!せっかく迎えに来たんだからもう帰ろう」と車イスのまま外に出ようとしました。「今は無理・・・外は寒いよ・・・」と言って車イスのまま外に連れていくと何とか諦めてくれました。

次の日曜日は朝から夕方まで家で過ごしました。1人では不安なのでのりこ(スタッフ)も一緒にいてもらいました。夕方になり施設に帰る時、スムーズに車に乗ってくれるかどきどきです。緊張しながら「そろそろ施設に戻ろっか~」と声をかける「いやっ!今日はゆっくり家で寝る・・・」と言い出しました。(それは困る・・・夜中に起きちゃうし・・・)と焦る私。父はのんびりみかんを食べ始めました。(どうしよう・・・どうしよう・・・)のりこと2人で「次は絶対泊まろう!ねっ!ねっ!」など明るく言って説得。「わかったよ」と言って帽子を被って立ち上がった時は心底ほっとしました。後日のりこは「あの時のじいちゃんは完全に弱者で私たちが強者だったね。じいちゃんが諦めた時私も泣きそうになった」と言っていました。ごめんね・・・という気持ちでいっぱいでした。

 

父はその後1泊ずつ計3回家に帰ってきて寝ました。のりこも一緒です。この3回で家で過ごすのは本当に無理・・・ということもわかったし、今できること、やれることはやったかな~?という落ち着いた気持ちでいることができています。

父の介護を通して色々考えるようになったのは、他人(今回の場合のりこ)の存在が大きいです。「どうした?じいちゃん?」「何したい?」「背中かゆい?」「どうする?」などずっと自然体で声をかけています。話が噛み合わなくても適当に流していて2人とも楽しそうです!

 

 

 

夜の7時半に早く寝てしまったこともあり夜中に度々起きる父。夜中の3時にいよいよ目を覚まし2人でリビングにてまんじゅうタイム!「のりこも食え~」なんてまんじゅうを勧められています。(苦笑)のりこは「いやいや・・・まだ夜中だからいいやっ」とお断りしていましたが・・・

のりこが笑っているから笑いごと!で済ませることが出来ました。他人のありがたみを身体と心で実感することができた貴重な体験でした。

 

またちょっと船の話に戻ります。どうして母を助けるんだろう・・・と考えた時、これは母の強さ、女の人にしかない強さなんじゃないかと思いました。

子どもの私は弱者だった。

母には全力で守ってくれるという強さがあった。

弱者だったから強者が必要だった。

それだけなのかもしれないと思えるようになりました。

 

1月のハイジだよりを2月に書いている今・・・締め切りはないのですが1人で焦っています。そして父なのか?母なのか?色んなことを考えて頭の中はぐちゃぐちゃになってきました。

1年生のひーちゃんに「例えば1人で船に乗って海に浮いています。パパとママの船が沈みそう!1人だけ助けられるとしたらどっちを助けますか?」という質問をしてみました。

真剣な顔でしばらく考えています。そして「ママ!」と答えました。「どうして?」と聞くと「だって~ママの方が軽いからっ!」ですって!(笑)

そう!!それくらいがいいねっ!!何とかハイジだよりがまとまりそうです。

ひーちゃん!~ありがとう!!ちなみに私が沈みそうになっても助けてくれるそうなのでよかったです!!

2022年2月7日